平成28年4月から「障害者差別解消法」が施行された。障害を理由とする差別を解消し、全ての国民が人格と個性を尊重し合い共生する社会作りを目標とした法律である。具体的には、① 障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止(法的義務)ならびに、② 必要かつ合理的配慮の提供(民間事業者は努力義務)が求められる。
茨城県内における肢体不自由/内部障害/聴覚視覚障害/言語咀嚼障害など身体障害者手帳交付者数は9万人にのぼる(精神知的障害は含まず)。また、生まれながら障害を抱える先天的障害児、および高齢化の進展に伴う後天的障害者の数は増加の一途を辿っている。様々な障害を有するがゆえに、う蝕や歯周病のみならず、健常者が何気なく行っている摂食嚥下もままならないほど、顎口腔領域に重篤な問題を抱える場合も多い。
しかしながら、これら顎口腔領域に障害を有する人々へ十分な対応を図ることが可能な医療機関は、県内では茨城県歯科医師会が運営する水戸と土浦の口腔センターなどごく一部に限られているのが現状である。
そこで、障害児・者に対する地域医療の拡充に向けて、一次医療機関として対応可能な医療を提供すべく、平成28年4月から半年間、口腔センター水戸の関口浩先生(日本障害者歯科学会認定医/日本小児歯科学会指導医)、三田村佐智代先生(日本大学松戸歯学部障害者歯科学講座専任講師/日本障害者歯科学会認定医)はじめ、各分野の専門家の指導のもと「茨城県歯科医師会主催:障害児・者歯科研修会 ベーシックコース」を受講し、対象者の病態ならびに家族/支援学校教員/介護施設職員とのかかわりについて研修を重ねた。今般、所定の課程を修了したことを受け、10月3日に茨城県歯科医師会 森永和男 会長より修了書が授与された。
今後も関係各位のご指導を仰ぎながら口腔センター等での研修を継続し、地域医療の拡充に努めたい。
コメントを残す