衛生的な口腔内の環境を維持し・何でも良く咬んで食事を楽しむ生活(口腔健康管理)は、健康寿命の延伸に繋がります。

龍ヶ崎市馴馬町596  8時~12時/14時~18時(予約制) 木日祝休診    


 
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ニュース

医師/歯科医師「ふたり主治医制」による医科歯科協働

(公社)茨城県歯科医師会 介護保険研修会「協働の輪を広げよう 医科から歯科へ/歯科から医科へ」

日時:平成31年1月13日(日)10時~13時

場所:茨城県歯科医師会館(茨城県水戸市)

講師:川越 正平 先生(千葉県松戸市 在宅医療あおぞら診療所 院長/東京医科歯科大学医学部 客員教授ほか)

 

 超高齢社会の進行により、要介護期間の短縮と健康寿命の延伸が望まれています。

また、医療技術の発展や新薬の開発に伴い、従来であれば入院加療が必要であった病状でも、外来での対応が可能となった病気も少なくありません。

 一方、年々増大する「医療・介護・薬剤費」対策のひとつとして、国は「入院病床の削減」と、家庭での療養を中心とする「地域包括ケアシステム」の構築を進めています。すなわち、医師/歯科医師が積極的に患家を訪問し診察・治療を施す「在宅医療(訪問診療)」の推進です。

 今般、先駆的に在宅医療に携わっている千葉県松戸市の在宅医療専門医 川越正平 先生の講演を拝聴し、以下の点を超高齢社会における医科歯科連携のキーと感じました。

 

-ハイリスク患者に対する医科歯科の協働のポイント―

・「歯周病」は「糖尿病」の増悪因子のひとつであり、定期的な管理・評価が必要なことを、今まで以上に医師・看護師に啓発する必要性。

・ 整形外科や内科で「骨粗鬆症薬ビスフォスフォネート」を投与する前と投与中には、必ず歯科にて歯と顎骨の状態を確認した上で適用すること。

・「認知症」患者には、出来るだけ早い段階から「口腔ケア」を介入し、終末期の悲惨な状態を回避すること。

・「肺炎」を患った高齢者と、「摂食嚥下障害」を有する患者は、全員が歯科での評価や口腔ケア(口腔健康管理)の継続が必要である点。

・「終末期」の患者も含め、亡くなる直前まで「緩和ケア」のひとつとして「口腔ケア」が必要である点。

⇒ これらを実現させるためには、全身と口腔の問題点に漏れなく対応する「医師と歯科医師の『ふたり主治医制』が当たり前に浸透する社会が求められている。

 

まさに、超高齢社会において在宅医療と真摯に向き合う第一線の医師の提言は、非常に重く的を得た内容でありました。

 

 

薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)に関する医科歯科コンセンサス ミーティング

H29.1914 日有歯医学会シンポジウム

 

日時 平成29年1月14日(土)10時~16時40分

場所 東京歯科大学 血脇記念ホール(東京 水道橋)

主催 日本有病者歯科医療学会

後援 日本骨粗鬆症学会/日本骨代謝学会/日本口腔外科学会ほか

 薬剤関連顎骨壊死(Medication-Related OsteoNecrosis of the Jaw, MRONJ)とは、骨粗鬆症の治療で用いられるビスホスフォネート(BP)製剤/抗RANKL抗体(デノスマブ)などの薬剤に起因する顎骨の変性で、頻度こそ少ないが一端発症すると日常生活の質(QOL)が大きく損なわれることから、近年注目されている疾病のひとつです。

 薬剤の処方および注射は整形外科をはじめとする医科で広く行われますが、顎骨壊死の症状は口腔内に現れるため、患者は歯科もしくは口腔外科に受診することが多く、投薬する科と治療する科が異なることから、医科歯科の連携が求められます。

今般、歯科口腔外科医の多くが所属する日本有病者歯科医療学会と、整形外科医の多くが所属する日本骨粗鬆症学会/日本骨代謝学会による共同シンポジウムが開催され、学会レベルでの相互理解が深められました。人口の1割が骨粗鬆症と言われる昨今、MRONJに関するポジションペーパーが4年振りに改訂され、我々開業医レベルにおいても医科との相互理解を深め、ひいては患者利益の向上に努める必要性を改めて感じたシンポジウムとなりました。以下に、講演の要旨をお示しします。

 

① がん研究会有明病院 総合腫瘍科 高橋俊二 部長 「悪性腫瘍患者における骨吸収阻害薬治療の現状」

 乳癌/前立腺癌/肺癌は骨転移し易い悪性腫瘍で、転移による痛み/病的骨折/脊髄圧迫による麻痺/高Ca血症などによりQOLの低下が生じるため、骨転移の発生と進行を如何に防ぐかが重要である。

 BP製剤は、骨吸収抑制作用のみならず抗腫瘍効果も併せ持つ。また、破骨細胞の形成と活性化に必須なサイトカインRANKLの中和抗体であるデノスマブも、骨吸収阻害と骨転移の予防効果が高く、近年頻用されはじめている。しかしながら、両薬剤の副作用として顎骨壊死が挙げられ、歯科口腔外科との連携が非常に大切である。

 

② 山王メディカルセンター/国際医療福祉大学 太田博明 教授 「骨粗鬆症治療関連顎骨壊死の現状と課題」

 骨粗鬆症に伴う大腿骨近位部骨折は、90年代後半からBP製剤の普及により欧米では大きく減少したが、本邦では未だ大幅な減少を認めるには至っておらず、更なる発症予防策の遂行が求められている。一方、BP製剤により重大な副作用である難治性の顎骨露出に対しては、我が国でも2008年に検討委員会が設立され、様々な介入研究が行われてきた。これらの薬剤を使用する際、医師は「口腔衛生の重要性を患者に説明するとともに歯科医師に診察を求める」こと/歯科医師は「骨粗鬆症治療に影響を及ぼす薬剤の休薬や治療方針の変更を医師に求めず適切な歯科処置を施行する」ことが示唆され、適切な骨粗鬆症治療のためには、ポジションペーパー2016に基づく緊密な医科歯科連携が不可欠である。

 

③ 日本骨粗鬆症学会 宗圓 聡 理事長 「骨粗鬆症治療におけるビスホスフォネートの重要性」

 超高齢社会における医療の目標は、健康寿命の延伸、すなわち約10年に及ぶ要介護期間の短縮と言える。健康寿命を阻害する疾患として、運動器疾患が一番多く約1/4を占め、骨粗鬆症とそれに伴う錐体(背骨)/大腿骨近位部などの骨折による生活自立度(ADL)と生活の質(QOL)の低下につながる。

 骨粗鬆症において、骨折を抑制するエビデンスがある薬剤は、BP製剤と一部の抗RANKL抗体(デノスマブ)に限られる。また、両薬剤は骨転移と関連のある悪性腫瘍患者にも多く使用され、生命予後の改善効果も示されている。

 

④ 国際医療福祉大学三田病院 口腔外科 矢郷 香 部長 「薬剤関連顎骨壊死の現状とマネジメント」

 2006年本邦で初めてBP関連顎骨壊死(BRONJ)が報告されて以来10年が経過した。近年は、血管新生阻害薬でも顎骨壊死が生じることから米国を中心に薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)の呼称が提唱されている。当該薬剤を使用した患者の抜歯術は、顎骨壊死の発症契機とされる一方、抜歯しなければ解決出来ない炎症巣を有する原因歯をむやみに保存することもやはりリスクファクターとなる。もし顎骨壊死が生じた場合は、抗菌薬投与のもと、腐敗した骨を手術的に取り除くこと/創部は可及的に閉鎖することが大切である。何より予防には、骨関連薬剤を使用する前に歯科診察を受け/自己管理を徹底することにより口腔衛生状態を良好に保つことが重要である。また、抜歯術などの外科的侵襲がなくても、被覆する口腔粘膜が薄いなどの理由で自然発生的に骨露出する場合も有り得るため、「定期的な歯科診察が必要」という認識を医療者/患者に啓蒙する必要がある。

 

⑤ 神奈川歯科大学 顎顔面外科学講座 岩渕博史 准教授 「骨粗鬆症患者の薬剤関連顎骨壊死に関するアンケート調査」

 日本有用者歯科医療学会と日本骨粗鬆症学会は、骨粗鬆症患者への骨吸収抑制薬とMRONJとの関連についてアンケートを実施した。

 発症の契機となる歯科処置があった例は7割に上る一方、自然発生的に生じた例が2割あった。契機と考えられた歯科処置は抜歯術が殆どだが、義歯の不具合が関連したと思われる例もみられた。抜歯などの外科処置前に骨吸収抑制薬を休薬した例は5割あったが、にもかかわらずその半数で顎骨壊死が生じていた。骨吸収抑制薬の投与前には、歯科診察が望まれるが、全国的に医科歯科の連携が十分に取り組まれているとは言えず、システム作りの必要性を感じた。

 

⑥ 東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 柴原孝彦 教授 「顎骨壊死検討委員会 ポジションペーパー2016」

 MRONJに関するポジションペーパー2016では、「医科歯科連携の強化」と「適切な歯科治療」をメインに、処方委(医師)とMRONJ治療医(歯科医師)の立場と責務が明確に示された。すなわち、処方委は「まず歯科受診を促す/既に処方中であっても歯科に受診させ、口腔管理を徹底させる」こと。歯科医師は「たとえ処方中であっても適切な歯科処置を行う、休薬しなければ処置出来ない」という誤解の払拭に努めることが謳われている(詳細はHP参照)。

骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016

https://www.jsoms.or.jp/medical/wp-content/uploads/2015/08/position_paper2016.pdf

 

 

障害児・者の歯科治療

 

 平成28年4月から「障害者差別解消法」が施行された。障害を理由とする差別を解消し、全ての国民が人格と個性を尊重し合い共生する社会作りを目標とした法律である。具体的には、① 障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止(法的義務)ならびに、② 必要かつ合理的配慮の提供(民間事業者は努力義務)が求められる。

 茨城県内における肢体不自由/内部障害/聴覚視覚障害/言語咀嚼障害など身体障害者手帳交付者数は9万人にのぼる(精神知的障害は含まず)。また、生まれながら障害を抱える先天的障害児、および高齢化の進展に伴う後天的障害者の数は増加の一途を辿っている。様々な障害を有するがゆえに、う蝕や歯周病のみならず、健常者が何気なく行っている摂食嚥下もままならないほど、顎口腔領域に重篤な問題を抱える場合も多い。

 しかしながら、これら顎口腔領域に障害を有する人々へ十分な対応を図ることが可能な医療機関は、県内では茨城県歯科医師会が運営する水戸と土浦の口腔センターなどごく一部に限られているのが現状である。

 そこで、障害児・者に対する地域医療の拡充に向けて、一次医療機関として対応可能な医療を提供すべく、平成28年4月から半年間、口腔センター水戸の関口浩先生(日本障害者歯科学会認定医/日本小児歯科学会指導医)、三田村佐智代先生(日本大学松戸歯学部障害者歯科学講座専任講師/日本障害者歯科学会認定医)はじめ、各分野の専門家の指導のもと「茨城県歯科医師会主催:障害児・者歯科研修会 ベーシックコース」を受講し、対象者の病態ならびに家族/支援学校教員/介護施設職員とのかかわりについて研修を重ねた。今般、所定の課程を修了したことを受け、10月3日に茨城県歯科医師会 森永和男 会長より修了書が授与された。

今後も関係各位のご指導を仰ぎながら口腔センター等での研修を継続し、地域医療の拡充に努めたい。

コンポジット レジン(CR)修復 up-to-date

 

日時 平成28年10月2日(日)10時~12時

場所 茨城県歯科医師会館(水戸)

主催 (公社)茨城県歯科医師会

講師 日本大学歯学部 保存学教室修復学講座 宮崎真至 教授

   「Tooth wear(酸蝕症) に対するコンポジットレジン修復の臨床テクニック」

要旨 

う蝕症とは、口内に生息する細菌が、砂糖を代謝し作られた「酸」によって歯の構成要素が溶けた(脱灰)結果生じる硬組織疾患である。初期は、エナメル質表面の変化(白濁)から始まり、進行すると象牙質に達しう窩(欠損)が生じる。この様に、う蝕症は細菌によって生じるのに対し、エナメル質/象牙質が細菌以外の原因によって次第に侵される疾患を「酸蝕症」という。

その原因は、食習慣をはじめ様々であるが、高齢化の進展および炭酸など酸性飲料の普及等により、酸蝕歯に遭遇する機会が増加している。とくに、炭酸を含んだ清涼飲料水/栄養補強剤など酸性度の高い飲料の習慣的摂取は、歯を溶出させる大きな要因となる。

その他、反復性嘔吐/胃内容物の逆流など胃酸によるもの、職環境に由来する酸蝕歯も散見される。

これら酸性環境に常に曝露される歯であるが、唾液によるpHの緩衝作用により脱灰が抑制され、毎日のフッ化物局所応用により耐酸性の向上が図られる。

一方、既に溶け出してしまった歯に対しては、接着性と物性の向上したコンポジットレジン(CR)を上手に用いることで、患者にとって費用的/時間的負担が少なく、審美性を備えた形態と機能の回復が可能である。

つまり、日々進化する医学/材料学に対し、知識と技術を常に up-to-date させる努力が求められることから、「DENTYSTRY(歯科医学)=Dent is Try」であり、毎日の挑戦が術者の成長をもたらし、患者の健康(幸福)に寄与するのもであろう。

 

第32回 歯科医学を中心とした総合的な研究を推進する集い

 

日時 平成28年9月3日(土)10時~14時30分

場所 歯科医師会館(東京 九段)

主催 日本歯科医学会

①「光学機器による口腔粘膜疾患の解析:腫瘍の可視化」

東京歯科大学千葉病院 口腔顎顔面外科学講座 森川貴迪 先生/柴原孝彦 先生

白板症/扁平上皮癌をはじめとする口腔粘膜病変に対して、波長400~460nmの青色光を照射し、その反射光を観察することにより、補助診断および切除範囲の設定に関する試みがなされている。正常組織への照射では自家蛍光が確認されるが、コラーゲンの架橋構造が破壊された異形成上皮では蛍光可視の低下が生じる現象を利用した解析で、患部に非接触で無侵襲、繰り返し確認が可能という利点を有する。また、反射光の変化を画像解析し、定量的に評価する事も可能。

さらに照射器はハンディタイプにつき、一次医療機関や訪問診療などにおいて、口腔癌のスクリーニング検査として有用(早期発見/早期治療につながる)。

 

②「歯科領域への超音波ガイド下神経ブロック導入による疼痛管理法の開発

東京医科歯科大学 麻酔生体管理学分野 村松朋香 先生/久保田一政 先生/深山治久 先生

超音波画像機器の向上に伴い、四肢・体幹の末梢神経ブロックを超音波ガイド下に行うことで、神経損傷や血管への誤穿刺などの偶発症を防止し安全で成功率の高い手技が可能となった。口腔領域においては、下顎孔/眼窩下孔などに対し神経ブロックが行われるが、偶発症の観点からそれを敬遠する場合も多いとされている。これらを鑑み、安全で確実な術中鎮痛を目的に、口内での使用を考慮した小型のプローブが開発され、改良が重ねれれている。

 

③「紫外線LEDを用いた歯科治療用機器の開発

国立長寿医療研究センター 歯科口腔先進医療開発センター 角 保徳 先生

ノーベル賞を受賞した名古屋大学 天野 浩 教授らにより紫外線LEDが開発されたことを受け、口腔内に直接照射可能な「紫外線LED治療装置(波長254nm)」の試作機が開発された。歯周病治療/歯内療法/癌治療など各疾患への応用が期待される。

 

④「NR4A1を標的とした薬物性歯肉増殖症の新規治療法の開発

広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 歯周病態学研究室 松田真司 先生/岡信 愛 先生/加治屋幹人 先生/藤田 剛 先生/栗原英見 先生

Ca拮抗薬/抗てんかん薬フェニトイン/免疫抑制薬シクロスポリンを内服する患者にみられる歯肉の線維性増殖症は、高齢化や医学の発展に伴い増加している。治療法は、口腔衛生の徹底/薬の変更/歯肉切除などであるが、薬の変更が困難な場合や歯肉切除後の再発も稀ではない為、発症メカニズムの解析と新規治療法の開発が求められている。

近年、核内受容体NR4A1の障害がTGF-βシグナルを促進し全身の線維症を増悪させていることが明らかとなった。薬物性歯肉増殖症においても、歯肉組織中のNR4A1障害が起きているとの仮説のもと、マウス歯肉増殖症モデルが作製され、遺伝子レベルでの解析が進められている。

 

「ヒトiPS細胞に低酸素培養を応用した再生医療用骨組織の作成」

東北大学大学院 歯学研究会 分子・再生歯科補綴学分野 大川博子 先生/江草 宏 先生

マウスiPS細胞においては、著明な骨形成能を有する三次元骨様構造体の分化誘導法が確立されたが、ヒトiPS細胞に応用する為には、低酸素状態を模倣するなど培養条件を更に検討し生体内に近い環境を再現する必要がある。これら骨芽細胞の分化機序を解明することにより、骨再生材料の開発、ひいては再生医療の発展が期待される。

 

「高感度X線画像センサーでの連続撮影による、リアルタイム透視根管形成システム」

東北大学大学院 歯学研究科 石幡浩志 先生 ほか

デンタルフィルム1枚分の線量で100フレーム以上の連続撮影が可能な高感度/高解像度の「CdTe半導体X線受線センサー」を用いることにより、これまで目視不能だった天然根管内におけるNi-Tiファイルの挙動ならびに根管形成/充填の状況をリアルタイムに観察することに成功した。従来のデジタルX線センサーでは検出が困難な#10ファイル尖端の造影も可能(先端径100μm)。しかしながら、術者の被ばくを避けるには、手術支援ロボットによる遠隔操作など機械工学分野の応用も必要。

 

「高齢期における認知機能障害と歯周病との関連を検証することを目的とした大規模前向きコホート研究:藤原京スタディ」

奈良県立医科大学 医学部医学科 地域保健医学講座 岡本 希 先生 ほか

奈良県在住の高齢者2,000名(平均80歳)を対象とした大規模前向きコホート研究により、無歯顎者の軽度認知機能障害のリスクが2.4倍/認知症リスクが2.2倍に上昇することが見いだされた。歯を失う大きな要因である歯周病を予防することは、認知機能障害の発生を遅らせることにつながり、認知症関連の医療/介護費を抑制出来ると考えられる。

 

「総合病院の入院患者が入院中に発症する肺炎に関する多施設共同研究-医科入院患者約40万人の解析-」

武蔵野赤十字病院 特殊歯科口腔外科 倉沢泰浩 先生/道脇幸博 先生 ほか

手術前後における口腔機能の専門的管理は、術後の誤嚥性肺炎や術後感染を有意に低下させると言われ、近年、悪性腫瘍に係わる手術/放射線治療/化学療法/緩和ケアを実施する際の「周術期口腔機能管理」として保険収載さるに至った。

今般全国16施設に及ぶ地域中核総合病院において、肺炎に関する43万人の大規模調査が行われた。疾患別にみた入院後の肺炎発症率は、平均1.6%だが、脳血管障害では5.1%と高頻度に生じることが分かった。また入院期間は、未発症群23日に対し発症群は52日と大幅に延長され、医療費高騰の一因と考えられた。

現在のところ、「周術期口腔機能管理」の対象疾患は悪性腫瘍に限られ、脳血管障害は対象外につき早急な適応拡大が望まれる。

 

 

 

 

 

 

日本の医療をめぐる諸課題

 

一般社団法人 茨城県病院協会 医療セミナー

日時 平成28年8月25日(木)19時~20時45分

場所 茨城県メディカルセンター(水戸)

講師 公益社団法人 日本医師会 副会長 今村 聡 先生

 

我が国の税収を顧みると、1990年の60兆円をピークに下降基調が続いたが2014年は54兆円まで回復。一方歳出は、1990年の69兆円に比べ近年は100兆円と大幅に増加している。このうち、高齢化/医療の高度化/とくに薬剤費の急増(10兆円)にともない40兆円を医療費が占めるに至り、国民皆保険制度を維持させるという名目の基、医療費抑制策が続いている(年金50兆円、医療40兆円、介護10兆円)。

 

かかりつけ医の普及:大病院は紹介患者を中心とし、一般外来はかかりつけ医へ受診する事を基本とするシステム。大病院への受診には紹介状が必要。紹介状無い場合は、初診:医科5千円/歯科3千円以上、再診:医科2,500円/歯科1,500円以上の低額負担金が別途必要(緊急その他の場合はその限りではない)。

 

企業の意識変化:社員の健康に対し企業が先行投資することは、企業の業績に反映されるという健康経営・健康投資の概念が広がりつつある。

 

生涯保健事業の体系化に向けて

現状では、0~5歳までの乳幼児期: 母子保健法による妊婦健診・乳幼児健診(厚労省児童家庭局)

6歳~大学生までの就学期:      学校保健安全法による学校健診(文科省青少年局)

就職~74歳までの就労者:     労働安全衛生法による事業主健診(厚労省厚労基準局)

40歳~74歳まで:           健康増進法による住民健診、高齢者医療確保法による特定健診(厚労省保健局)

75歳~:             高齢者医療確保法による後期高齢者健診(厚労省老健局)

と根拠法/監督官庁が分かれている為、結果の一元管理と活用がなされていない。

更に、就労者に対する労働安全衛生法に準拠した「歯科健診」は未整備で、多くの国民が歯科の早期治療を逃し重症化させているのが現状である。口腔保健と健康の関係が明らかにされつつある現在、口腔の管理を含めて「妊婦/乳幼児~高齢期まで」一貫して標準化された健診事業を展開出来るシステムが求められている。

 

生きる力をはぐくむ学校保健教育(スクール ヘルス プロモーション)

 

一般社団法人 日本学校歯科医会「保健教育に関する専門研修」

日時 平成28年8月21日(日)10時40分~16時40分

場所 日本歯科医師会館(東京九段)

講師 明海大学長 安井利一 教授「専門研修における保健教育の目標」

   元東京都中央区泰明小学校長/元東京都教職員研修センター指導員 小暮義弘 先生「学校歯科保健教育の意義と展開」

   日本学校歯科医会常務理事 野村圭介 先生「ワークショップを通した学習指導案の作成」

 

「自己実現の手段としての健康づくり」

日本は世界に冠たる長寿国となったが、寝たきりなどの要介護状態を極力防ぎ、生涯にわたって自立した生活を送ることの出来る「健康寿命」の延伸が求められている。しかしながら、長期に及ぶ不適切な生活習慣が関連した肥満/糖尿病/脳血管障害/呼吸循環器疾患/歯周病をはじめとした生活習慣病の蔓延により、その実現には個人差が大きい。これら生活習慣病の素地は、学齢期から始まると言われ、学校における保健教育と健康習慣の獲得は、その後の人生を大きく左右する。

さて口腔領域において、戦後の高度経済成長期に社会問題となった所謂「子供の虫歯の洪水」は、口腔衛生の向上/人工甘味料の開発/フッ化物配合歯磨剤の普及など歯科保健/医療体制の充実によりほぼ根絶され、12歳児のDMF(う蝕経験)歯数は、昭和59年の4.8本から昨今は0.9本まで減少した。また、日々のセルフケアに励むとともに、定期的に検診&専門的ケアを受ける人々も増加しつつある。

ただし、小児期のう蝕は減ったものの、歯肉炎および歯列や咀嚼など口腔機能の未発達者の増加/スポーツドリンクなど甘味飲料の多飲による思春期以降におけるう蝕の多発/軟食に偏った食事などに対し食育の必要性も指摘されている。

「生きる力(生き抜く力)」とは、「自分で課題を見つけ/学び/行動することによって、より良く問題を解決する能力」であるが、歯肉炎をはじめ歯と口の疾患は、その状態と変化を直接観察出来る/原因と結果の把握が容易/解決行動は日常的/歯の生え変わりを通して身体の不思議や生命への興味を引き出せる/学級や家庭など周囲の人と共通の話題になり得るなどの点で、学校での保健教育に適した教材とも言われている。

歯垢が蓄積することによって生じた歯肉炎は、適切な歯磨きで改善する。放置すればう蝕になる要観察歯(CO)も、間食のコントロールやフッ素を併用した丁寧な歯磨きなどによりその進行を抑制することが出来る。この様な経験は、「自分の体は自分で気を付け大切に扱えば、それに応えてくれる!」という貴重な実感を与える。

家庭/学校/行政/社会が子供達の健康に関心を持ち、幼稚園・小学校での他律的な健康づくりをきっかけに、中学校・高等学校と発達段階に応じて自律的な健康づくりを身に着けさせる取り組みは、生涯にわたって生きる力を育む健康な国民を養うことに他ならない。

 

災害時の誤嚥性肺炎を防ぐ高齢者の体づくり:食べられる口/飲み込める喉

平成27年9月に常総市で起きた鬼怒川氾濫による大規模水害は記憶に新しいところですが、当市に於いても昭和56年をはじめ幾度となく小貝川の氾濫に見舞われています。また、茨城県南地方は、太平洋プレートと大陸プレートが合致する地震多発地帯としても知られています。

茨城県では医師会/歯科医師会/薬剤師会/看護師会の職域四師会が協力して災害時の対応に当たる協定が結ばれておりますが、この度、阪神淡路大震災を機に災害時の口腔保健の重要性について実証されている神戸常磐大学の足立了平 教授が来県され知見を示されました。

茨城県歯科医師会主催 災害研修会

日時  平成28年8月11日(木)10時~12時

場所  茨城県歯科医師会館(水戸)

講師  神戸常磐大学 口腔保健学科 教授 足立了平 先生(口腔外科医)

演題  大規模災害時の口腔保健の重要性と医科歯科福祉連携

要旨

平成7年の阪神淡路大震災や平成23年の東日本大震災をはじめとする大災害時の教訓から、「災害関連死(Rreventable Disaster Death 救えた可能性のある死)」を減少させる事が大きな課題の一つであるとクローズアップされています。これら関連死の死因は、①肺炎、②心筋梗塞、③脳血管障害と続き、60歳以上の高齢者が9割を占めています。特に避難所生活では、大きなストレス、常用薬の不備、脱水、動かない生活、低栄養(噛めない、飲み込めない)などの要因が重なる点が指摘されています。①肺炎については、これらのマイナス要因に口腔ケアの不備(細菌数の増加)が加わり、特に誤嚥性肺炎が多いと言われています。

対策として、避難所の環境改善、要支援者の移送、食事服薬管理、水道設備の復旧とともに「高齢者の歯と義歯の清掃」が大切です。

予備力の低下した高齢者の口腔管理を適切に行う事により、発熱をはじめ肺炎による死亡率が減少するデータが示されている昨今、「水がもったいないから歯を磨かない/一日中、義歯を装着したままの生活」なんてあってはなりません。福祉医療と行政の連携による活動が一層求められています。

そして、平時から口腔の衛生管理に努め「食べられる口/飲み込める口」を維持しておく事は、「災害に強い体づくり」に繋がる事を再認識しました。

 

健康長寿を支える かかりつけ歯科医による在宅歯科医療/摂食嚥下障害の支援

噛むかむ弁当表紙

 

2015年7月12日(日)10時から、水戸市の茨城県歯科医師会館に於いて

「健康長寿社会を支える歯科医療 ~総合的視点に立った臨床歯科~」と題した生涯研修セミナーが開催されました。

主催:日本歯科医師会・茨城県歯科医師会

協賛:日本歯科医学会

後援:厚生労働省

① はじめての在宅歯科医療 ~ 域包括ケアにおけるかかりつけ歯科医の役割 ~

講師 東京都大田区開業 細野 純 先生

② 地域で食べるを支えるということ

講師 日本歯科大学 教授(口腔リハビリテーション多摩クリニック 院長)菊谷 武 先生

世界で類を見ない超高齢化の進展により、日本人の4人に1人が65歳以上の高齢者となりました。今後も、病気や障害により通院が困難となる要介護高齢者が急増することは明らかで、地域における介護サービスと在宅医療は必要不可欠なものと考えられています。

また「口から食べること」を支える口腔機能の維持管理は、水分と栄養源を摂取するだけに留まらず、人生の終末まで「生活の質 QOL を保つ」ことを支える生活の医療と言われています。

現在、厚生労働省および地方自治体では、医療・介護・生活支援サービスが住み慣れた地域で総合的に提供される体制(いわゆる地域包括ケアシステム)の構築が進められています。

患者さんとその家族にとって有効な地域連携とする為には、役所一任でなく、医師・薬剤師・看護師・介護支援専門員をはじめとする各専門職の方々と顔の見える関係を築く積極的な努力が必要であることを学びました。

*写真は、一品目30回以上噛んで食べる運動(カミング30運動)を推進する目的で茨城県産の食材を用いて作られた「噛むかむ弁当(茨城県歯科医師会監修)」の包み紙の絵です(茨城県歯科専門学校 歯科技工士課 吉田恵梨子さん作)。

茨城県保険医協会主催 医療安全管理研修会

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2015年7月10日(金)19時から、取手市福祉センターに於いて、医療法に基づいた安全で適正な医療サービスの提供を目的とした標記研修会が開催されました。

講師:茨城県竜ヶ崎保健所 地域保健推進室

― 内 容 -

・医療従事者の免許と業務範囲

・各種届出と医療情報の提供

・職員の健康管理(労働安全衛生法第66条に基づく健康診断の実施)

・医薬品の取扱い

・医療安全管理体制の確立(指針の策定、年2回以上の研修、機器の保守点検、医療事故・ヒヤリハット・感染症発生などの報告)

・防火・放射線・医療廃棄物の管理

これらの研修機会を通して、日頃から医療に関する最新情報の収集とその実践に努める必要性を改めて学びました。