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薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)に関する医科歯科コンセンサス ミーティング

薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)に関する医科歯科コンセンサス ミーティング

H29.1914 日有歯医学会シンポジウム

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日時 平成29年1月14日(土)10時~16時40分

場所 東京歯科大学 血脇記念ホール(東京 水道橋)

主催 日本有病者歯科医療学会

後援 日本骨粗鬆症学会/日本骨代謝学会/日本口腔外科学会ほか

 薬剤関連顎骨壊死(Medication-Related OsteoNecrosis of the Jaw, MRONJ)とは、骨粗鬆症の治療で用いられるビスホスフォネート(BP)製剤/抗RANKL抗体(デノスマブ)などの薬剤に起因する顎骨の変性で、頻度こそ少ないが一端発症すると日常生活の質(QOL)が大きく損なわれることから、近年注目されている疾病のひとつです。

 薬剤の処方および注射は整形外科をはじめとする医科で広く行われますが、顎骨壊死の症状は口腔内に現れるため、患者は歯科もしくは口腔外科に受診することが多く、投薬する科と治療する科が異なることから、医科歯科の連携が求められます。

今般、歯科口腔外科医の多くが所属する日本有病者歯科医療学会と、整形外科医の多くが所属する日本骨粗鬆症学会/日本骨代謝学会による共同シンポジウムが開催され、学会レベルでの相互理解が深められました。人口の1割が骨粗鬆症と言われる昨今、MRONJに関するポジションペーパーが4年振りに改訂され、我々開業医レベルにおいても医科との相互理解を深め、ひいては患者利益の向上に努める必要性を改めて感じたシンポジウムとなりました。以下に、講演の要旨をお示しします。

 

① がん研究会有明病院 総合腫瘍科 高橋俊二 部長 「悪性腫瘍患者における骨吸収阻害薬治療の現状」

 乳癌/前立腺癌/肺癌は骨転移し易い悪性腫瘍で、転移による痛み/病的骨折/脊髄圧迫による麻痺/高Ca血症などによりQOLの低下が生じるため、骨転移の発生と進行を如何に防ぐかが重要である。

 BP製剤は、骨吸収抑制作用のみならず抗腫瘍効果も併せ持つ。また、破骨細胞の形成と活性化に必須なサイトカインRANKLの中和抗体であるデノスマブも、骨吸収阻害と骨転移の予防効果が高く、近年頻用されはじめている。しかしながら、両薬剤の副作用として顎骨壊死が挙げられ、歯科口腔外科との連携が非常に大切である。

 

② 山王メディカルセンター/国際医療福祉大学 太田博明 教授 「骨粗鬆症治療関連顎骨壊死の現状と課題」

 骨粗鬆症に伴う大腿骨近位部骨折は、90年代後半からBP製剤の普及により欧米では大きく減少したが、本邦では未だ大幅な減少を認めるには至っておらず、更なる発症予防策の遂行が求められている。一方、BP製剤により重大な副作用である難治性の顎骨露出に対しては、我が国でも2008年に検討委員会が設立され、様々な介入研究が行われてきた。これらの薬剤を使用する際、医師は「口腔衛生の重要性を患者に説明するとともに歯科医師に診察を求める」こと/歯科医師は「骨粗鬆症治療に影響を及ぼす薬剤の休薬や治療方針の変更を医師に求めず適切な歯科処置を施行する」ことが示唆され、適切な骨粗鬆症治療のためには、ポジションペーパー2016に基づく緊密な医科歯科連携が不可欠である。

 

③ 日本骨粗鬆症学会 宗圓 聡 理事長 「骨粗鬆症治療におけるビスホスフォネートの重要性」

 超高齢社会における医療の目標は、健康寿命の延伸、すなわち約10年に及ぶ要介護期間の短縮と言える。健康寿命を阻害する疾患として、運動器疾患が一番多く約1/4を占め、骨粗鬆症とそれに伴う錐体(背骨)/大腿骨近位部などの骨折による生活自立度(ADL)と生活の質(QOL)の低下につながる。

 骨粗鬆症において、骨折を抑制するエビデンスがある薬剤は、BP製剤と一部の抗RANKL抗体(デノスマブ)に限られる。また、両薬剤は骨転移と関連のある悪性腫瘍患者にも多く使用され、生命予後の改善効果も示されている。

 

④ 国際医療福祉大学三田病院 口腔外科 矢郷 香 部長 「薬剤関連顎骨壊死の現状とマネジメント」

 2006年本邦で初めてBP関連顎骨壊死(BRONJ)が報告されて以来10年が経過した。近年は、血管新生阻害薬でも顎骨壊死が生じることから米国を中心に薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)の呼称が提唱されている。当該薬剤を使用した患者の抜歯術は、顎骨壊死の発症契機とされる一方、抜歯しなければ解決出来ない炎症巣を有する原因歯をむやみに保存することもやはりリスクファクターとなる。もし顎骨壊死が生じた場合は、抗菌薬投与のもと、腐敗した骨を手術的に取り除くこと/創部は可及的に閉鎖することが大切である。何より予防には、骨関連薬剤を使用する前に歯科診察を受け/自己管理を徹底することにより口腔衛生状態を良好に保つことが重要である。また、抜歯術などの外科的侵襲がなくても、被覆する口腔粘膜が薄いなどの理由で自然発生的に骨露出する場合も有り得るため、「定期的な歯科診察が必要」という認識を医療者/患者に啓蒙する必要がある。

 

⑤ 神奈川歯科大学 顎顔面外科学講座 岩渕博史 准教授 「骨粗鬆症患者の薬剤関連顎骨壊死に関するアンケート調査」

 日本有用者歯科医療学会と日本骨粗鬆症学会は、骨粗鬆症患者への骨吸収抑制薬とMRONJとの関連についてアンケートを実施した。

 発症の契機となる歯科処置があった例は7割に上る一方、自然発生的に生じた例が2割あった。契機と考えられた歯科処置は抜歯術が殆どだが、義歯の不具合が関連したと思われる例もみられた。抜歯などの外科処置前に骨吸収抑制薬を休薬した例は5割あったが、にもかかわらずその半数で顎骨壊死が生じていた。骨吸収抑制薬の投与前には、歯科診察が望まれるが、全国的に医科歯科の連携が十分に取り組まれているとは言えず、システム作りの必要性を感じた。

 

⑥ 東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 柴原孝彦 教授 「顎骨壊死検討委員会 ポジションペーパー2016」

 MRONJに関するポジションペーパー2016では、「医科歯科連携の強化」と「適切な歯科治療」をメインに、処方委(医師)とMRONJ治療医(歯科医師)の立場と責務が明確に示された。すなわち、処方委は「まず歯科受診を促す/既に処方中であっても歯科に受診させ、口腔管理を徹底させる」こと。歯科医師は「たとえ処方中であっても適切な歯科処置を行う、休薬しなければ処置出来ない」という誤解の払拭に努めることが謳われている(詳細はHP参照)。

骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016

https://www.jsoms.or.jp/medical/wp-content/uploads/2015/08/position_paper2016.pdf

 

 

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