日時 平成28年10月2日(日)10時~12時
場所 茨城県歯科医師会館(水戸)
主催 (公社)茨城県歯科医師会
講師 日本大学歯学部 保存学教室修復学講座 宮崎真至 教授
「Tooth wear(酸蝕症) に対するコンポジットレジン修復の臨床テクニック」
要旨
う蝕症とは、口内に生息する細菌が、砂糖を代謝し作られた「酸」によって歯の構成要素が溶けた(脱灰)結果生じる硬組織疾患である。初期は、エナメル質表面の変化(白濁)から始まり、進行すると象牙質に達しう窩(欠損)が生じる。この様に、う蝕症は細菌によって生じるのに対し、エナメル質/象牙質が細菌以外の原因によって次第に侵される疾患を「酸蝕症」という。
その原因は、食習慣をはじめ様々であるが、高齢化の進展および炭酸など酸性飲料の普及等により、酸蝕歯に遭遇する機会が増加している。とくに、炭酸を含んだ清涼飲料水/栄養補強剤など酸性度の高い飲料の習慣的摂取は、歯を溶出させる大きな要因となる。
その他、反復性嘔吐/胃内容物の逆流など胃酸によるもの、職環境に由来する酸蝕歯も散見される。
これら酸性環境に常に曝露される歯であるが、唾液によるpHの緩衝作用により脱灰が抑制され、毎日のフッ化物局所応用により耐酸性の向上が図られる。
一方、既に溶け出してしまった歯に対しては、接着性と物性の向上したコンポジットレジン(CR)を上手に用いることで、患者にとって費用的/時間的負担が少なく、審美性を備えた形態と機能の回復が可能である。
つまり、日々進化する医学/材料学に対し、知識と技術を常に up-to-date させる努力が求められることから、「DENTYSTRY(歯科医学)=Dent is Try」であり、毎日の挑戦が術者の成長をもたらし、患者の健康(幸福)に寄与するのもであろう。
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